女性のノーベル賞受賞者

100年以上の歴史があるノーベル賞は、早くから女性にも賞を授与してきました。しかし、自然科学分野では、のべ26人と全体の4%にとどまっています。自然科学3賞を女性で初めて受賞したのはマリー・キュリーです。1903年に物理学賞を受賞し、1911年には化学賞も受賞しています。
物理学賞で、次に女性科学者が受賞したのは1963年で、半世紀以上経ってからです。3人目はさらに半世紀後の2018年で、まだ5人しかいません。全体に占める割合は2%です。米国の物理学の学位取得者に占める女性の割合が21%であることと比べても、はるかに少数です。
選考委員に女性が少ないことも指摘されています。物理学賞や化学賞の選考委員を出しているスウェーデン王立科学アカデミーは、会員の女性比率を上げる努力を続けています。過去5年は新たに選出された会員の45%ほどが女性で、全体の女性比率は約20%になっています。
2009年は、化学と生理学・医学で3人、経済と文学を合わせると史上最多の5人の女性が受賞しています。2020年には、女性2人が化学賞を共同受賞しました。一定の枠を女性に割り当てるクオータ制のような制度をノーベル賞に求める意見もみられますが、ノーベル賞はノーベルの遺言に従って、人を選ぶ賞ではなく、貢献を評価する賞です。歴史の検証に堪えうるような選考をし続けることが、ノーベルの遺言を守ることになります。

 

(2024年4月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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