外国人の定着

総務省の人口動態調査によれば、2023年1月1日時点の外国人人口は約300万人です。出入国在留管理庁のまとめでは、2023年末に在留外国人が約340万人に達し、人数は増加基調にあるものの人口比ではまだ海外より低率で、総人口に対する外国人の割合は2.4%です。OECDによれば、2019年時点でスイスは24.2%、ドイツは13.1%、フランスは7.3%でした。米国は、外国生まれの自国民を含む割合で13.6%でした。日本の比率が低い要因の一つは、外国人が日本で働くハードルが高く、日本型の雇用慣行が海外から来る際の壁になっています。
しかし、高度な技能を持つ外国人労働者の日本での定着率は、欧米主要国よりも高率です。高技能者向けの在留資格で2011~2017年に来日した外国人が5年後も日本にいる割合は、約4割にのぼっています。オランダの35%やドイツの25%など欧州各国を上回り、国際的にみて高水準です。
年功序列の賃金制度は、高い技術を持ち、日本に長く滞在しない若い人材の呼び込みを困難にしています。新卒採用の際には大学などを卒業する前に企業が内定を出すため、学校を卒業してから外国人が日本で就職するのは困難です。外国人の永住権取得条件や家族が日本で働く際の規制緩和などが必要になります。円安も外国人の受け入れには逆風です。規制緩和など労働者が日本に居続けるための環境整備を考える必要があります。

(2024年5月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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