文部科学省の調査によれば、子ども1人を大学まで通わせるのに必要な教育費は、800万~2,200万円です。国立社会保障・人口問題研究所が2021年に実施した夫婦への調査によれば、理想の数の子どもを持たない理由のトップは、子育てや教育にお金がかかりすぎるからで52.6%でした。
大学進学率は年々上昇し、今や6割に達しています。短大や専門学校を含めた高等教育の進学率は8割に達しています。大学4年間にかかる学費の平均は、国立で約240万円、私立で約400万円です。日本では、その費用を家庭に負わせています。OECDが2022年に公表した報告書によれば、加盟国30か国以上への調査で、高等教育に関する私費負担の割合は、日本が67%で、平均31%の2倍超でした。
低所得世帯だと、子が2人でも年収380万円未満など一定の条件を満たせば、授業料が減免される制度はあります。岸田前政権が掲げた異次元の少子化対策で、来年度から扶養する子が3人以上いる多子世帯を対象に、大学の授業料が無償化されます。
国は、5年前に3~5歳児の幼児教育・保育を無償化しましたが、0~2歳児で無償となり得るのは、第3子以降と低所得世帯だけです。子育ての経済負担は、少子化を加速させます。幼児教育から高等教育まで一律で無償化することも、今後考えなければならなくなってきます。
(2024年10月24日 読売新聞)
(吉村 やすのり)