胚モデルの研究規制

 内閣府の生命倫理専門調査会は、万能細胞を使ってヒトの受精卵を再現する胚モデルの研究について、国への届け出など一定の規制が必要だとする報告書を了承しました。不妊の研究に役立つ一方、研究の進展で本物の胚に近づく可能性があるため、ルールを明確にします。

 胚モデルは胚を模した細胞の集合体で、体の様々な細胞に育つ能力があるiPS細胞やES細胞を特殊な条件で培養して作ります。倫理面での制約が多い本物の胚を使わずに、ヒトが1つの受精卵から細胞分裂を繰り返していく発生初期の知見が得られると期待されています。

 胚モデルは、子宮に移植したとしても胎児になって人として誕生し得る存在ではないことから、胚と同じ規制は必要ないとしています。一方、科学技術の進展に伴って将来、胚と同等の機能を持つ胚モデルが作られたり、不適切な研究に使われたりする可能性も考えられることから、一定の規制が必要としています。

 胚モデルの培養期間については、受精後14日以降の胚の研究を禁止している14日ルールの適用は不要としています。培養期間の上限も、長期にわたって胚モデルを培養することが技術的に困難なことから、現時点で設ける必要はないとしています。

(2024年11月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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