膵臓がんの早期発見

 膵臓がんは初期段階では症状がほとんど現れず、腹痛や食欲不振、黄疸などの症状が出る頃には、かなり進行しています。国立がん研究センター発表の5年後生存率では、膵臓がんは男性8.9%、女性は8.1%です。肺がんの男性が29.5%、女性が46.8%などに比べて極端に低くなっています。日本で膵臓がんで亡くなる人は約4万人で、20年で倍増し、胃がんと並んでいます。

 膵臓がんで初期段階に発見する技術の開発が広がっています。名古屋大学発スタートアップであるクライフは、尿からがんを発見する検査技術の開発を進めています。尿や唾液、血液に含まれるマイクロRNAをAIで解析し、がんを早期に検知するという方法です。

 膵臓は暗黒の臓器と呼ばれ、臓器のサイズが小さく、周辺の臓器に隠れてしまうため、微少ながんの発見は困難です。国立がん研究センターは画像診断で微小ながんを発見できる薬剤を作っています。膵臓がんの細胞表面に現れるたんぱく質であるEGFRに強く結びつく薬剤を作り、患者に薬剤を投与し、PETで撮影します。通常の検査では小さい膵臓がんは写りにくく診断が難しいのですが、3㎜から1㎝ほどの微少な膵臓がんを見つけることができるとされています。

(2024年10月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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