がん免疫療法の進化

 免疫療法の登場まで、がんの治療法は主に3種類でした。手術でがんを取り去る外科治療、抗がん剤などで攻撃する薬物療法、放射線で壊す放射線療法です。2010年代、画期的な効果を持つがん免疫薬オプジーボなどが登場し、4つ目の治療法として確立しています。

 体の免疫機能でがんを治療する免疫療法が進化しています。免疫細胞を遺伝子改変し、がんへの攻撃力を高める治療法が、米国で8月に希少がん向けに承認を受けました。日本でもタカラバイオなどが実用化を目指しています。

 新しいこの薬剤は、TCR-T細胞と呼ばれ、免疫細胞の一種のT細胞を強化して治療に使います。患者からT細胞を取り出して遺伝子を改変し、がん細胞の目印となるたんぱく質に反応するアンテナのような分子であるT細胞受容体を持たせて体内に戻します。

 がん細胞は、正常な細胞の遺伝子が変異してできます。細胞表面にあるたんぱく質も正常細胞と似ていることが多く、免疫細胞には見分けがつきにくく攻撃しづらいため、がんの目印を免疫細胞教えて攻撃しやすくします。

(2024年11月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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