美容外科をめぐるトラブルの増加

 美容医療を受ける人はここ数年で急増しています。厚生労働省の資料によれば、52の医療機関・チェーンの施術数は2019年に約123万件でした。それが2022年には3倍の約373万件に増えています。国民生活センターなどへの相談も2023年度は5,507件あり、1,862件だった2019年度から3倍に増えています。

 美容医療では法令違反が横行しています。厚生労働省の調査では、何らかのトラブルを経験した人の13.8%が、カウンセラーからレーザー脱毛などの施術を受け、受付スタッフから施術を受けた人も6.3%いました。一方、保健所側は、トラブルがあっても自由診療であるために立ち入り検査を躊躇し、検査に入ってもカルテの記載などが不十分で、問題の把握が困難です。

 美容医療をめぐるトラブルの増加を受け、美容医療の医療機関に安全管理に関する年1回の報告を義務づける方針を固めています。関係団体には、後遺症への対応や医療の質の標準化などに関する指針をつくらせます。美容医療に限った異例の対応ですが、美容医療界では法令を守らない医療機関があるとされ、実効性が課題になります。

(2024年11月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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