これまでの子育ての支援は、行政による経済的な支援を核としています。しかしながら、民主党政権下での子ども手当などの一時的かつ皮相的な支援はまったく有効策となり得ていません。
子育ての支援は、女性の就労支援に目を向けるべきであり、保育所はもちろん、病児保育や24時間保育の充実が喫緊の課題となると考えられます。病児保育がない限り、子どもをもつ女性は働けません。女性の就労支援はもちろん、子育てをしながら就労しやすい勤務体制の確立が望まれます。
女性が安心して子どもを産み、育てられる環境づくりが大切です。都市部で深刻化する待機児童の解消と、24時間保育の施設の拡大が必要となります。これらは仕事と育児を両立するうえで最も切実な悩みです。また、子育てをしながら就労するためには、保育関係で最も社会的な取り組みが立ち遅れている病児保育体制の充実を図るべきであると考えられます。
男性を含む育児による短時間勤務制度の導入や在宅勤務、そしてフレックス制の導入など、それに伴う法的な枠組みの構築も必要となります。企業における女性のみならず男性の育児休暇の取得を推進するなど、社会が子どもを育てる意識を啓発してゆくことが大切です。こういった制度を企業がもつことが企業の評価につながるような行政指導も必要になります。
もう一つ少子化対策で忘れてはならないのは、高齢妊娠を減らすことを考慮することです。女性の高学歴化、社会進出そしてキャリア形成にともない、25~35歳の女性の就業率が増加しています。そのため、晩婚化、晩産化に拍車がかかっています。女性の理想的な妊娠時期は25歳から35歳であり、この時期に分娩できるような社会や職場の環境づくりが大切です。そのためには、高齢妊娠の困難性や危険性を思春期の頃より教育することが重要となります。そして女性が子どもを産み、育てたいと思うような社会をつくることが肝要です。
心健やかに産み、安心して子育てや教育ができる成熟した社会の実現なくして、加速する少子化を断ち切ることは絶対にできません。
(吉村やすのり)