国は2023年6月に女性版骨太の方針で、女性役員の登用目標を定めました。東証プライム市場上場企業が対象で、2030年までに女性役員比率を30%以上とするとしています。昨年末には中間目標として2025年までに19%も追加しています。経団連調べでは、プライム上場企業の4.2%がいまだ女性役員ゼロです。女性役員の大半は社外取締役・監査役です。
目的の一つに集団浅慮の防止があります。集団浅慮とは、均一な集団ほど自分たちの力を過信し、愚かな決定を下しやすい現象を示します。取締役会が最善の決断を下せるように、投資家や株主らも経営層の多様化を重視しています。女性役員登用は、企業価値向上のための責務とも言えます。
就任後も自己研さんを続けるため、上場企業の女性役員らが独自に組織するネットワーク活動もみられるようになってきています。特にここ5年はコーポレートガバナンス・コードが浸透し、難しい判断が求められる場面が増えています。計恵環境の変化は著しく、学び続けないと役員の責任が果たせません。経営判断を司る以上、誰でも良いわけではありません。互いに高め合い、切磋琢磨する場が女性の力の底上げにつながります。
(2024年11月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)