陸海二刀流による水産資源の確保

 世界の水産資源の生産量は拡大を続けており、2022年の天然の魚介類の捕獲を目指す漁業と養殖を合わせた生産量は2億2,322万トンと、2000年に比べ6割増えています。健康志向を背景とした魚食ブームで、世界中で魚介消費量が伸びているためです。漁業は乱獲や気候変動などの影響もあり、2022年は2000年比で2.5%減少しました。各国とも計画的に生産できる養殖に注力しています。その生産量は2000年に比べ約3倍に増え、生産量全体の58%にのぼっています。

 日本の2022年の水産資源の生産量は前年比6%減の392万トンです。統計開始以降として最少を更新し、養殖の占める比率は24%と世界に比べ見劣りしています。沿岸部は養殖に適した場所が少なく、沿岸域で漁業を営む権利である漁業権が必要なため拡大が難しくなっています。

 陸上養殖はこれらが課題です。最大の障壁であるコスト圧縮ができれば、生産を増やせるとして期待されています。陸上養殖の拡大には技術開発などに時間を要するとして、ニッスイは沿岸から離れた沖合での養殖の拡大や効率化に意欲を示しています。沖合での養殖を含む陸海二刀流で技術を磨き、世界で激化する水産資源の争奪戦に備えます。

(2024年11月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です