厚生労働省は、女性の管理職比率について従業員101人以上の企業に公表を義務付ける方針を示しています。非上場企業も対象で、女性の積極登用を企業に求めます。男女の賃金差異の公表義務は、現行の301人以上から101人以上の企業に広げます。
日本の女性管理職比率は12.9%と、米国の41.0%やドイツの28.9%など海外と比べて低率です。女性管理職の少なさが男女の賃金格差を招く原因の一つとなっており、公表義務化で格差の解消を目指します。水増し登用を防ぐため、男女別の登用率の公開なども企業に促します。
女性の健康問題への取り組みも企業が公表する行動計画に盛り込むよう促しています。生理休暇の取得のしやすさなどを念頭に置いています。一部の企業では、生理休暇の名称を変え、不妊治療にも使えたり、男性も取得できたりするよう制度変更する例もあります。女性活躍推進法は2016年4月に施行し、2026年3月で期限が切れます。女性活躍がまだ進んでいないことから、さらに10年延長して取り組みを継続するとしています。
カスハラ対策を企業に義務付け、対応方針の明確化や相談体制の整備、事後の適切な対応などを求めています。就職活動中の学生に対するセクハラ防止義務も企業に課します。ノルマを達成するために従業員が自腹で商品を買い取る自爆営業は、パワハラ防止に関する指針に位置づけています。
(2024年11月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)