日本の都市の緑は世界各国よりも少ないとされています。森記念財団が都市の緑地の充実度の計測によれば、東京や大阪は、ベルリンやロンドン、シンガポールなど世界の主要都市よりも低くなっています。都市に緑地が増えれば、周辺住民の憩いの場になるほか、国内外の人が訪れるきっかけとなります。気候変動対策や生物多様性の確保にもつながります。
緑を積極的に取り入れた都市再開発の評価制度が動き出します。国土交通省は、緑地整備や壁面緑化などへの民間の取り組みを3段階で評価する仕組みを作ります。これまで国として緑地の多さを評価する制度はありませんでした。認定を受けると国の補助金を活用できるメリットもあります。総合評価が最も高いランクを取得するためには、緑地を3割以上確保する必要があります。
新たに設けるのは、優良緑地確保計画認定制度と呼ぶ仕組みです。量と質の両面で民間デベロッパーの大型再開発のプロジェクトを評価します。量は申請した区域に占める緑地の割合を調べます。公園や植栽に加えて屋上や壁面の緑化なども緑地とみなします。質については、温暖化ガスの吸収効果や地表面の温度の抑制効果、地域社会のコミュニティー形成に資するものかなどを評価します。
(2024年12月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)