がんは30年以上、日本人の死因のトップを占めています。近年、医療技術の進歩により、発症後の生存率や完治する割合は改善されています。そのため、求められるがん患者への支援策もかわってきています。厚生労働省の人口動態統計では、2013年にがんで亡くなった人は約36万4千人です。1981年に脳卒中を抜き死因の第1位になり、今は死亡者総数の約3割を占めています。もっとも死者数が多いのが肺がんで、13年には約7万人が亡くなっています。胃がん、大腸がんも目立ちます。女性特有の乳がんと子宮頸がんも多く、早期検査などが不可欠です。
国立がんセンターの調査によると、5年生存率は53.2%(93~96年)から、58.6%(03~05年)に上昇しています。今後はますます生存率は上昇すると考えられ、がんは長く付き合う病気に代わりつつあります。今や日本人に2人に1人は生涯のうちにがんにかかるとされています。高齢化社会を迎え、病気と介護と共生する社会を避けて通れなくなっています。企業には勤務と治療が両立できるような介護退職制度の運用を考えるべきだと思います。
(2014年11月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)