子ども食堂のネットワークづくりなどをするNPO法人の全国こども食堂支援センターであるむすびえの発表によれば、今年度は全国1万866カ所と、公立中学約9,300校を上回り過去最多となっています。子ども食堂は、子どもが一人でも安心して行ける無料または低額の食堂と定義されています。
子ども食堂は、2012年に東京都大田区で八百屋を営んでいた女性がボランティアで食事を提供した活動が始まりとされています。個人や企業、NPO法人など運営主体は多様で、国や自治体の補助金、民間の助成金、寄付、食品の寄贈などを活用しています。2010年代は、貧困対策の側面だけが注目されがちでしたが、次第に高齢者の健康や地域のにぎわいづくり、虐待予防などの役割も果たすようになっています。
むすびえは、約1万8千ある小学校区に一つ以上の子ども食堂があることを目指しています。校区内に子ども食堂がある公立小の割合を示す充足率は、全国平均で34.66%です。自治体の予算や運営主体の広がりの差で、都道府県によって10~60%台と開きがあります。
農林水産省は、学校給食向けに配っていた政府備蓄米を2020年から子ども食堂にも配っています。こども家庭庁や厚生労働省も、運営などの助成金を出しています。今は国の助成金などに加え、食材を提供してくれる農家やスーパーの厚意が支えとなっています。高校生から80代まで幅広い世代のボランティアの存在も欠かせません。
(2024年12月12日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)