高度成長期の人手不足の際は、工場や商店で働くため地方から大都市に向かう若者が金の卵と呼ばれました。バブル期は南米などの日系人を増やしました。労働需給逼迫の第3の波とも言える今は、好況時の一時的な枯渇ではありません。15~64歳の生産年齢人口は、約7,400万人とピークの1995年から15%も減少しています。2050年までにさらに1,800万人減ります。人材獲得のグローバル化が急務となっています。
日本企業が海外大の新卒者らの獲得に力を入れ始めています。高度成長期、バブル期に匹敵する人手不足の第3の波に見舞われるなか、国内採用だけでは人材の質を維持できません。日本貿易振興機構の2023年調査によれば、回答企業の28.4%が、今後2~3年のうちに外国人材を増やすとしました。在留資格別では、高度人材(技術・人文知識・国際業務)の採用を予定する企業が22.2%で最多です。人手不足対策の特定技能が11.1%、日本で技能を学ぶ技能実習が10.5%でした。
人口減少下で経済成長するには、AI活用などによる生産性向上も欠かせません。外国人に日本人同様の振る舞いや働き方を求めるなら生産性向上や革新につながりません。異なる発想や価値観を取り入れ、企業側も変わる覚悟が求められています。
(2024年12月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)