国は副業・兼業を原則禁止としていたモデル就業規則を2018年に変え、推進する指針を作成しています。国が念頭に置いたのは、高所得者の副業によるイノベーションの促進でしたが、生計維持のために仕事をかけ持つ人が多くなっています。
総務省の2022年の調査によれば、副業・兼業者のうち本業の所得が299万円以下の人が3分の2を占めています。副業による長時間労働の結果、労災や心理的負担による過労死も増えています。兼業の労働時間はもとより、心理的負担の把握は困難です。国は推進するなら企業の定期面談を充実させるなど、労災を防ぐための議論も大切です。
(2024年12月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)