帯状疱疹ワクチンの定期接種

 厚生労働省の専門家部会は、痛みを伴う水ぶくれが皮膚に現れる帯状疱疹を予防するワクチンについて、65歳の人を対象に、2025年度から定期接種にする方針を了承しました。定期接種になれば、費用の一部が公費で助成されます。経過措置として、最初の5年間は66歳以上の人も対象に加えます。

 帯状疱疹は、水ぼうそうを起こすウイルスが原因となります。水ぼうそうが治った後もウイルスが神経に潜伏し、免疫の働きが落ちると、再び活性化して帯状疱疹を起こします。80歳までに3人に1人が経験すると推定されています。発症すると、神経に沿って、皮膚に刺すような痛みや水ぶくれ、腫れが生じます。10~50%の患者は、数カ月から数年にわたって神経痛が残ります。帯状疱疹は50歳ごろから急増し、70代が最も多く発症します。

 国内での帯状疱疹を防ぐワクチンは、接種が1回ですむ生ワクチンと、2回接種が必要な組み換えワクチンの2種類が承認されています。全額自己負担の任意接種では、原則50歳以上の人が対象になっており、免疫不全などの発症リスクが高い人は18歳以上なら接種できます。一方、公費助成される定期接種は65歳の人が対象になります。

 発症を防ぐ効果は、生ワクチンでは接種後1年で60~70%程度、組み換えワクチンでは97.7%とされています。生ワクチンは接種後5年で効果が40%前後に落ちる一方、組み換えワクチンでは接種後10年で70%程度を維持しています。

(2024年12月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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