スタートアップへの転職

 人材大手のエン・ジャパンの調査によれば、40代以上のスタートアップへの転職が目立ってきています。2024年は2022年比8割増で推移しており、20代、30代を上回っています。資金の流入で給与水準が高まり、従来は難しかったやりがいの追求に現実味が帯びてきています。経験やノウハウを新天地で生かそうと中高年が動き出しています。

 新興に転職した40代以上の年収は2023年に平均758万円と、全転職先の705万円を8%上回っています。転職後に年収が増えた割合は50%で、2019年の22%から大幅に増えています。給与上昇の背景にあるのは資金流入と組織の成熟化です。2023年の新興の資金調達額は8,039億円と、10年前の9倍に膨らんでいます。専門職や人脈が豊富な人材の需要が高まり、余裕がある企業は資金を人材投資に振り向けています。

 労働政策研究・研修機構によれば、日本の従業員の平均勤続年数は12.3年で、米国の4.1年の3倍です。スタートアップが生み出す雇用は約52万人と、国内の全就業者数の1%にも満たない状況です。今は同じ企業に20年以上勤めると退職金の手取りが増える制度があります。労働移動を妨げないように税制や労働政策は働き方に中立的にすべきです。

(2024年12月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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