歯科医師の偏在

 2024年に厚生労働省がまとめた調査によると、全国の歯科医の数は2022年末の10万5,267人から200人強減っています。1954年の統計開始以来、初めて減少しています。歯学部の定員抑制で若手の数は細り、今後も歯科医の減少が続くと思われます。

 現在、歯科医の国家試験の合格者数は年約2,000人と横ばいが続いています。一方で1970年代に働き始めた世代の多くが70歳以上になり、年約3,000人が引退しています。新たに歯科医になる人の数を差し引きすると、年1,000人程度減り続いています。しかし、2024年9月末時点の歯科医院の数は約6万6,000施設で、依然としてコンビニより多くなっています。

 偏在が深刻で、山陰や北陸などの地方で不足しつつあります。2022年末に人口10万人当たりの歯科医が最も多いのは東京都の120.3人で、徳島県と福岡県が続いています。最少は滋賀県の58.8人で、山陰や北陸も少なく、東京都と滋賀県の差は2倍強に達しています。歯科医を目指す若者が地方から都市部へ流れています。偏在と共に歯科医師の高齢化が進んでおり、5割弱が60歳以上を占めています。歯科医師の総数は多いとみなされており、偏在への危機感が薄く、地方で働く歯科医の育成枠を置く検討も必要となります。

(2024年12月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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