マンションの高齢化

 高層の共同住宅であるマンションには、日本の国民の1割超が居住していると推計されています。第2次世界大戦後の1950〜70年代の高度成長期以降に各地で建設が相次ぎ、建物の老朽化とシニア層の居住が増えているという2つの老いに直面しています。

 国土交通省によれば、築40年以上のマンションは2023年末に137万戸と、10年前比3倍に増えています。2033年末には274万戸、2043年末には464万戸になると見込まれています。築10年以上20年未満のマンションでは、世帯主が70歳以上の住戸の割合は15%にとどまっていますが、築30年以上40年未満では35%、築40年以上では55%をしめています。年金で暮らす世帯では、新たな負担が発生する建て替えに消極的で、建物の修繕や建て替えの決定に必要な賛成者が集まらない問題も出てきています。

 政府は、これまでマンション建て替え円滑化法を改正して敷地を一括して不動産会社などに売却しやすくしています。マンションを建て替える際に、隣接する民家や駐車場などに用地を広げて建物を大きくできる取り組みを後押ししています。隣接地の所有者に建て替え後のマンションの区分所有権を付与できるよう法改正します。人口減に直面するなか、新規開発に頼る手法ではなく、既存の都市機能を刷新する住宅政策を進めます。

(2025年1月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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