政府は、地方創生2.0の基本的な考え方を発表しています。若者・女性にも選ばれる楽しい地方をつくると強調しています。開始から10年を迎えた地方創生は、人口減少や東京一極集中に歯止めをかけられていません。若者や女性を如何にして地方にとどめるかがカギとなっています。
この10年間、東京一極集中の流れは変わりませんでした。東京圏の1都3県への転入超過は、2014年の10.9万人から2019年の14.6万人に増加しています。新型コロナ禍の影響で2021年は8.5万人に減りましたが、2023年には11.5万人に増え、一極集中への回帰傾向がみられます。
2023年の転入超過の内訳を見ると、20~24歳が70%を占め、25~29歳や15~19歳が続いています。逆に、転出超過は9歳以下と35~79歳で、60~64歳が最多となっています。大学進学と就職が一極集中の要因なのは明らかです。
男女別では、東京圏の転入・転出とも男性が女性より多い一方、転入超過は、女性が男性より毎年1万人以上も多くなっています。男性は転勤・Uターンなどの地方転出が相当数あります。東京圏に来た女性は転出する割合が低いとみられています。
東京圏の転入超過元は、愛知県が1位、大阪府が2位で、以下は兵庫、静岡、宮城、福岡県の順です。各地域の中核の府県に期待される一極集中を抑制する人口のダム機能の効果は限定的となっています。一極集中は国全体の人口減少とも連動します。若者や女性の流出は、地方の少子化を加速させます。東京圏でも、人口集中で住居費が高騰し、子育て世帯などの可処分所得が減れば、少子化が進みます。
(2024年12月28日 読売新聞)
(吉村 やすのり)