日本ではバブル崩壊で銀行が抱えた膨大な不良債権が表面化し、1998~2003年の間に早期健全化法や預金保険法などに基づき、約12兆円が大手銀行や地方銀行に注入されました。預金保険機構が、普通株や優先株、劣後ローンなどを引き受けることで、銀行に資本を供給しました。公的資金の注入で資本を厚くして、金融機関の経営基盤を安定させ、破綻を防いだり、企業などへの融資余力を高めたりする狙いがありました。
公的資金の注入を受けた銀行は、国に引き受けてもらった優先株の買い取りや特別優先配当により公的資金を返済しています。1998年に経営破綻した旧日本債券信用銀行を前身とするあおぞら銀行は、国から総額3,200億円の公的資金が投入されましたが、2015年に完済しました。りそなホールディングスも同年に完済しています。公的資金が注入された主な銀行で、いまだ公的資金が残っているのはSBI新生銀行だけでしたが、約3,300億円の公的資金のうち、まず1,000億円を3月末までに返済するとしています。
(2025年1月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)