介護業界の人手不足

 介護業界の人手不足は深刻化しています。厚生労働省によれば、2023年10月時点の介護職員数は前年比2.9万人減で、統計を開始した2000年以降初めて減少に転じています。2040年度に必要となる介護職員数は約272万人で、2022年度職員数から約57万人増やす必要があると推計しています。今後も人手不足が続けば、介護サービスを受けたくても受けられない高齢者が増えてしまいます。

 厚生労働省は、介護事業者が人材仲介アプリで未経験者を集める取り組みを後押しします。送迎や清掃など介護資格が不要な業務を切り出し、アプリで募集をかけてもらいます。スキマバイトのように短時間や短期で働く学生らを呼び込み、人手を確保するとしています。対象とする業務は、利用者の送迎や調理補助、清掃の他、レクリエーションの手伝いなどを想定しています。資格が無くてもできるものの、現場では介護福祉士などが行っている業務がたくさんあります。介護福祉士などの資格を持つスタッフにとっては、介護の本来業務に集中しやすくなります。

 未経験者に介護現場を体験してもらうことで、介護業界への関心を深めてもらう狙いもあります。本格的に介護職として働くきっかけになれば、長期的な人手不足の対策につながると期待されています。多様な人材が体験を共有することで、職場の魅力や課題が見えやすくなります。求職者が自分に合う事業所を見つけやすくなる他、外部の目が入ることで虐待などの防止にもつながる可能性があります。

(2025年1月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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