総務省の発表によれば、2人以上の世帯が使ったお金のうち食費の割合を示すエンゲル係数は28.3%です。1981年の28.8%より後の年では最も高く、43年ぶりの高水準です。身近な食べものの値上がりが響いています。
食費は暮らしに欠かせない出費のため、エンゲル係数の低下は豊かさをあらわすとされてきました。日本では、1979年に30%を切った後も低下が続いていましたが、2005年の22.9%を底に上昇基調に転じています。外食や調理済みの食品が普及し、食事にお金をかける世帯が増えています。
2024年は、身近な食べものの高騰が大きく影響しています。消費者物価指数は、コメ類が前年より27.7%上昇し、29%超だった1975年以来の伸びを記録しています。天候不順で育ちが悪かった野菜も値上がりし、キャベツやタマネギも2割を超す伸び率となっています。一方、2024年に2人以上の世帯が使ったお金は月平均30万243円で、物価変動の影響を除いた実質では1.1%減っています。
(2025年2月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)