サケ漁獲数の減少

 日本のサケ漁獲数の大半を占める北海道で深刻な不漁が続いています。最多の2003年は5,647万匹でしたが、近年は3割ほどに落ち込み、2024年は記録が残る1989年以降で2番目に少ない1,562万匹に減少しています。温暖化の影響でサケが回遊中の食料争いに敗れ、放流された川に帰れなくなっていると言われています。

 日本のサケ漁は、卵を人工ふ化させて放流する事業が軌道に乗り、1990~2000年代にかけて最盛期を迎えました。北海道や東北地方で放流された稚魚は春頃海へ出て、夏まで沿岸部で過ごします。秋になると北方のオホーツク海に移動し、その後はベーリング海、アラスカ沖と季節ごとに移動を繰り返しながら成長し、4年ほどで日本へ帰ってきます。

 このサイクルに異変が生じています。温暖化による海水温上昇で、低水温を好むカラフトマスがベーリング海で急増し、サケと同じ動物プランクトンを食べるため、サケが食料争いに敗れ、成長できずに数を減らしています。回帰するサケが減り、人工ふ化させる卵も確保しづらくなっています。

(2025年2月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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