精神疾患に対する職場復帰支援

 うつ病や双極性障害といった精神疾患を持つ人の数は増加傾向にあります。厚生労働省によれば、2020年の精神疾患の外来患者数は約586万人と過去最多となっています。内訳は、うつ病などの気分障害が169万人で28.9%、適応障害などの神経症性障害等は123.7万人で21.1%でした。また仕事による強い心理的負担で精神疾患を発症した人の労災認定件数は、2023年度には前年度比173件増の883件と、5年連続で過去最多となっています。

 2022~2023年の間に、メンタルヘルス上の問題を抱えて、連続して1カ月以上休職した労働者がいた従業員1,000人以上の事業所は88.1%、退職者がいた事業所は67.4%でした。地方公務員を対象とした2023年度の調査では4万7,000人を超えています。

 近年、心の健康問題などで休職した人の職場復帰を支援するプログラムであるリワークの利用が広がってきています。医療機関のほか、障害福祉サービス事業者が実施するプログラムがあります。医療リワークを提供する医療機関は全国に約200施設ありますが、都市部と地方での地域格差もあります。障害福祉サービス事業者の参入によって受け皿が増えることが期待されていますが、内容は事業者によって異なります。今後はプログラムの質をどのように担保していくかが課題となります。

(2025年2月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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