水害リスクの増加

 地球温暖化の影響で水害リスクは深刻な状況で、より踏み込んだ対策が必要となってきています。気象庁によれば1時間に80㎜以上の猛烈な雨の発生回数は2023年までの10年間で計237回に上り、データを取り始めた1976年からの10年間と比べて1.7倍に増えています。近年は日本列島で豪雨災害が相次いでおり、ハード・ソフト両面の対策が求められています。

 鬼怒川水害について国の賠償責任を認めた東京高裁判決は、管理する行政側に河川の水害リスクを厳格に評価するよう迫ったものと言えます。鬼怒川の増水で氾濫を招いた砂丘のように、私有地が自然堤防となっている地域は少なくありません。国土交通省が2015年に実施した調査によれば、自然堤防となっている私有地は、国が管理する7河川で約5.4㎞分ありました。

 国土交通省は、ハード面の対策には限界があるとして、河川の流域全体でソフト面を含めた一体的な対策に取り組む流域治水に力を入れています。水害のリスク情報の発信強化を図り、補助金を出して危険性の低いエリアへの住民の集団移転を促しています。

(2025年2月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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