家族歴やBMIと生活習慣病のリスク

 新潟大学や虎の門病院のチームの解析によれば、生活習慣病と呼ばれることの多い2型糖尿病、脂質異常症、高血圧のいずれも、家族に患者がいると本人のリスクも大きく高まることが分かりました。家族のうち1人でも発症者がいる人の同じ病気の有病リスクは、いない人に比べて2型糖尿病で3.20倍、脂質異常症で2.81倍、高血圧で2.25倍高くなっています。特に2型糖尿病では、祖父母、親、きょうだいの3世代のいずれにも患者がいる人の有病リスクは、家族歴がない人の20倍に達しています。

 3つの病気はいずれも将来、命に関わる心筋梗塞や脳卒中を起こす危険性を高めます。しかし、早い段階で見つけて治療することで、心筋梗塞などのリスクは下げられます。家族に患者がいる場合は、とりわけ自身の発症を見落とさないように定期的な健康診断が必要となります。

 またいずれの病気も、家族歴があっても肥満を避けることで有病リスクを抑えられる可能性があることも示されました。高血圧の家族歴があり、肥満度の指標となる体格指数BMIが30以上の肥満の人が高血圧であるリスクは、家族歴のない普通体重の人の18.99倍のリスクです。しかし、家族歴があっても普通体重の人だと、リスクは2.22倍にとどまっています。家族歴があったとしても、肥満を避けるほか、適度な運動を心がけて喫煙しないなどの予防策で、リスクは大きく違ってきます。

 家族が同じ病気に罹った場合、家庭での共通の食事習慣などが影響している可能性もあります。しかし、遺伝的な要因と家族の習慣のどちらがどれほど関係しているかは、個別性が高いために一律には言えません。家庭の経済的な事情で、野菜や果物を十分にとることができず、これらの病気の要因につながるケースも指摘されています。生活習慣病という呼称には、不摂生にしていると罹るといったニュアンスがあるため、患者への偏見を助長するとの批判もあります。

(2025年2月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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