帝国データバンクによれば、2025年4月入社の新卒社員の初任給について、企業の71.0%が引き上げるとしています。引き上げ額は平均9,114円でした。中小企業の間でも、初任給を増額する動きが強まっています。
初任給を引き上げれば優秀な人材を採用しやすくなる一方で、若手や中堅社員の処遇との逆転が生じると社員のやる気をそぐ恐れもあります。
中小企業を中心に、社員の待遇改善の余力に乏しい企業もあります。昨年の春闘では大手企業が5.58%の賃上げ率を記録したものの、中小企業は3.62%にとどまっています。既存社員に辞められると、これまでの教育費用などがリセットされてしまいます。経営陣は、既存社員も含めて人への投資を進める必要があります。

(2025年2月27日 読売新聞)
(吉村 やすのり)