日本のODA予算は、2010年代から横ばいを続け、2025年度予算案でも全体の0.5%に過ぎません。2023年の拠出額はOECDの開発援助委員会の中で、米国、ドイツに続く3位につけるものの、国民総所得(GNI)比では12位と見劣りし、国連が目標とする0.75に届いていません。外交に関する世論調査を見ると、18~39歳の若い世代のODAへの見方が厳しく、逆風が将来にわたって固定化する恐れもあります。
政府開発援助(ODA)に対する世論の風当たりが厳しい。物価高などにより国民の暮らし向きが大きく上向かないなかで、外国の支援に予算を割くことへの拒否感が背景にあります。内閣府の発表した2024年度の外交に関する世論調査によると、今後の開発協力のあり方について、積極的に進めるべきだと答えた人の割合は25.1%でした。前回から2.1ポイント低下し、直近10年で最も低率でした。なるべく少なくすべきだの15.3%、やめるべきだの3.1%の合計は、18.4%と2.2ポイント増え、10年で最も高くなっています。
日本がそもそも外国の援助を受けて成長した歴史や、ODAが日本経済にも利益をもたらしている側面を国民があまり知りません。日本がODA事業の評価を格国に比べて透明性高く公開している点なども含めて、政府がもっと効果的に発信すべきです。日本のODAが途上国の発展に果たしてきた役割を認めつつ、日本の国際協力のあり方に変化が求められます。
(2025年2月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)