過剰受診は医療費を増やし、健康保険組合や政府の財政を圧迫します。OECDによれば、日本の1人あたり外来受診回数は年11回程度で、主要国では韓国に次いで2番目に多くなっています。この過剰受診を控えるために、一部のOTC類似薬を保険対象外とし、自主服薬を推進することは、医師の負荷を減らすためにも必要となっています。
薬局で処方薬を受け取る際には調剤技術料などが上乗せされますが、保険適用により薬代と技術料のいずれも1~3割の自己負担で済みます。患者が窓口で支払う費用は、市販薬よりも低くなるケースが多く、症状によっては医療機関での診察料を合わせても、患者の経済負担が少なくなる場合があります。
医師や病院は貴重な医療資源であるため、症状が重い患者の診察を優先し、病状が軽い患者は市販薬で対応するセルフメディケーション(自主服用)という考え方があります。効率的な医療システムを実現するために必要な取り組みですが、病院の薬の方が安い場合、この流れを妨げています。
(2025年3月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)