災害時の偽・誤情報

 災害時には、偽・誤情報が拡散されます。古くて新しい問題です。内閣府によれば、1923年に起きた関東大震災では、朝鮮人が武装蜂起し、あるいは放火するといった流言が広まり、殺傷事件も起きました。ラジオやテレビなどの媒体に加え、近年はSNSの普及で一人一人による情報発信が可能になり新たな課題を生んでいます。

 2011年の東日本大震災では、SNSが災害情報を発信する手段として注目され、プラス面とマイナス面が意識されるようになりました。2024年の能登半島地震では虚偽の救助要請が確認され、2022年の台風15号では、AIで生成した画像が被災地の様子として拡散しました。

 若い世代は災害情報もSNSで収集する傾向が強くなっています。2022年に内閣府が実施した世論調査では、18~29歳の76.6%が防災に関する知識や情報を得るときに、SNSの情報を活用したいとし、テレビの73.8%を上回っています。30~40代でもSNSの影響は大きくなっています。

 SNS上で災害時の偽・誤情報が疑われる投稿を経験した自治体が、全国8都道府県に上ることが分かっています。業務に支障が出た事例もあり、都道府県の6割がフェイク情報の検証チームやAIの活用など対策に着手しています。安易な拡散は救助や復旧活動を妨げる恐れがあり、利用者のリテラシー向上が求められる。

(2025年3月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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