先発薬から後発薬への置き換え率が、初めて9割を超えました。先発薬を希望して使用する患者に、追加費用を求める制度が始まったためで、安価な後発薬の普及で医療費抑制が期待できます。前年同月からの上昇幅は5.3ポイントで、1~2ポイント程度だったここ最近では異例の伸びを示しました。
厚生労働省は、後発薬がある先発薬に選定療養という制度を適用しました。患者の希望で先発薬を受け取る場合、先発薬と後発薬の差額の4分の1相当を窓口負担に上乗せします。年齢別では、子どもの使用率上昇が顕著で、5~9歳は前年同月比8.7ポイント高い89.7%、10~14歳は8.0ポイント高い90.1%となっています。追加費用は、子ども医療費無料化など自治体による助成制度の対象者にも適用されます。これまで薬代がかからなかった子どもの患者が制度開始後、自己負担が生じないように後発薬へ切り替えています。
後発薬の使用を定着させるには安定供給が欠かせません。国内ではメーカーの品質不正をきっかけに、4年超にわたり供給不安が続いています。約8,000品目ある後発薬のうち、出荷制限や停止状態は約2,000品目(26%)にのぼっています。厚生労働省は、後発薬で中小メーカーが多く、想定外の事態が起きた時の生産余力が乏しいことが原因と思われます。高価な先発薬に代わる後発薬を開発し、患者に使用を促す取り組みを進めるべきです。

(2025年3月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)