民間企業で働く障害者は、昨年6月現在約67万7,400人と、10年間で1.5倍に増えています。国が企業に対し、従業員数の一定割合以上の障害者を雇うよう義務付け、その法定雇用率を徐々に引き上げてきました。障害者と働くことは多様性のある組織作りや、業務の見直しによる効率化につながるという考え方が、企業の間で浸透しつつあります。
心や体の不調を理由に長い時間は働けないけれど、短時間なら大丈夫という人もいます。国は昨年4月、こうした人たちが働きやすいよう、短い時間で働く障害者についても企業が雇用率の計算に含められるようにしました。障害者を雇用する企業を対象に農園など実際に働く場所を別に用意する民間サービスも増えています。雇用代行ビジネスと呼ばれ、国の調査では全国で9,000人を超える障害者が働いています。
訓練を受けながら働く就労継続支援施設もあります。仕事内容は、パソコンでのデータ入力、清掃など様々です。収入も得られます。しかし、経営が悪化して、事業をやめる運営法人が相次いでいます。障害者雇用には、まだ多くの課題があります。

(2025年3月15日 読売新聞)
(吉村 やすのり)