政府のまち・ひと・しごと創生(地方創生)本部は、今後5年間の地方創生の総合戦略と長期ビジョンの骨子案を示し、合計特殊出生率の当面目指す水準を1.8とするなど、人口減少対策に国と地方が一体で取り組む方針を強調した。安倍政権は特に地方の取り組みを重視し、全面支援する心構えである。しかし、政府側の施策は具体化が遅れており、個人の選択である妊娠・出産への介入になりかねないとの懸念も出ている。
50年後に1億人程度の人口を維持するとの目標に向け、政府の「長期ビジョン」の骨子案も示された。1人の女性が生涯に産む女性の数を示す「合計特殊出生率」(2013年は1.43)について、まず目指すべき水準として1.8程度への改善が提起された。夫婦の「予定する子ども数(平均2.07人)、独身女性の「結婚希望率」(89.4%)と「理想の子ども数」(同2.12人)などのデータを参考に算出している。政府はこれまで、戦中の「産めよ増やせよ」を連想させるといった批判に配慮し、出生率の数値目標化を避けてきた。今春、政府の有識者会議「少子化危機突破タスクフォース」が検討したものの、「女性がノルマと捉えてしまう」との批判を浴び、断念したという経緯があった。
(2014年11月7日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)