不登校の小中学生は増え続けています。文部科学省の調査によれば、2023年度の不登校の小中学生は過去最多の34万人で、5年前から倍増しています。我が子の将来を心配するなどし、心身の負担を感じる保護者も少なくありません。オンラインでフリースクールを運営しているsozowの調査によれば、子どもの不登校によって孤独を感じたと答えた保護者は55%と半数を超えています。体調不良になったのは26%、精神科を受診したのは15%でした。
不登校の小中学生が過去最多を更新し続けるなか、保護者への支援が課題になっています。民間調査によると、2人に1人が孤独を感じ、2割は離職を余儀なくされています。文部科学省は、不登校を巡る問題が深刻化している状況を受け、2025年度にまず200程度の自治体を対象とし、保護者への支援体制を強化する方針です。公認心理師ら専門家が助言する事業などに必要な費用を補助します。保護者向けの学習会の開催などについても補助し、情報が適切に伝わるようにします。親の安定と子どもの安心は密接に結びついています。
不登校になっても学び続けられるような環境づくりは徐々に進んでいますが、保護者に十分に周知されていないのも課題となっています。各地の教育委員会は教育支援センターを設置するなどし、学校復帰を後押ししています。柔軟なカリキュラムが認められている学びの多様化学校(不登校特例校)や民間のフリースクール、通信制の学校に通うといった選択肢もあります。
(2025年4月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)