産後ケアは、産後間もない女性が心身のケアや育児相談を受けられるもので、国が子育て環境の整備や産後うつ防止のため、出産後1年以内の母子を対象に事業を実施しています。①病院などに泊まる宿泊型、②一時滞在のデイサービス型、③助産師らが赴く訪問型があり、民間企業も参入しています。
改正母子保健法に基づき、産後ケアは2021年度から市町村の努力義務になっています。病院や助産所などに委託し、運営費を自治体や国が補助します。2023年度は全国の9割にあたる1,547自治体が実施し、2014年度から50倍超に増えています。都市部の利用者は増えつつあります。利用率は東京都江東区で2023年度に5割を超えています。千代田区も2024年度に3割ほどに達しています。
しかし、全国的にみれば浸透はまだまだです。こども家庭庁によれば、分娩件数に占める利用者数は2022年度時点で10.9%に過ぎません。理由には、費用が高い、近くに施設がない、利用方法が分からないが挙がっています。家族や周囲の理解が得られないとの回答もあります。

(2025年4月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)