公的年金の男女差

 公的年金には大きな男女差がありますが、同じ女性同士でも配偶関係による金額差があります。厚生労働省の調査によれば、年金の平均月額を配偶関係別にみると、男性は高い順に①有配偶が16.6万円、②死別が16.5万円、③離別が12.4万円、④未婚が12.3万円です。配偶者がいると世帯での支出額は増えますが、妻の年金や加給年金の受給もあります。

 女性は①死別が12.7万円、②未婚が11.7万円、③離別が9.0万円、④有配偶が8.2万円の順です。死別が高いのは、遺族年金の影響です。有配偶は夫の収入もあるため、最も苦しいのは離別です。

 シングルマザーの平均就労収入は年250万円以下なのに、今の社会保障では対策が手薄です。妻が夫と死別すると遺族年金がありますが、離婚にはありません。限られた収入を子の教育費に回し、自身の老後の備えが後回しの離別女性が多くなります。配偶関係によって、結果的に老後の差が生まれます。若い人たちはその事実を知り、ライフデザインを描くべきです。

(2025年5月11日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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