先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症とは-Ⅱ

診断と治療

 妊娠中のCMVの初感染だけでなく、感染既往のある妊婦からも感染児が生まれることが確認されています。つまり、妊婦の抗体検査だけでは全ての感染児を検出できないという限界が明らかになっています。したがって先天性CMV感染の有無を判定するには、生まれた後の赤ちゃんの尿検査を行う必要があります。症状が見られたり、新生児聴覚スクリーニングで要再検査と判定されたりするなどの先天性CMV感染のリスクがあると判断された場合に、この検査が行われます。

 経口の抗CMV薬であるバルガンシクロビルを生後2か月以内に症候性先天性CMV感染症の赤ちゃんに6か月間投与することにより、体内のCMV量を減少させ、聴力障害の改善あるいは進行を防ぐ効果が確認されています。この治療法は、2023年3月に、日本が世界で初めて症候性先天性CMV感染症に対する治療薬としての承認を行い、保険適用下で実施できることになりました。

 この聴覚障害の改善あるいは進行を防ぐ効果は3歳になっても持続していることが明らかになりました。先天性CMV感染による難聴は進行性であることを考えると大きなインパクトがあります。先天性CMV感染による難聴は、治療により改善や進行を抑制できる可能性があります。

(月刊母子保健 第793号 令和7年5月1日)
(吉村 やすのり)

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