運転手不足の深刻化

 日本バス協会によれば、2030年にバス運転手は約3万6,000人不足する見通しです。2020年には約12万5,000人いましたが、大量採用した世代の引退に加え、新たな成り手も限定的で、約9万3,000人にまで減少するとみられています。タクシーの運転手も2015年から2022年までに約9万人減っています。ドライバーの高齢化や免許返納が主な要因です。観光地ではインバウンドが増加しており、幅広い自治体で移動手段の確保が重要課題となっています。

 地域を走る循環バスに自動運転技術を取り入れようとする自治体が増えています。運転手不足の深刻化を背景に、100近い自治体が導入を視野に入れています。黒子として技術を提供する企業は少なく、マクニカが50以上の自治体と連携し、定常運行や実証実験を支援しています。マクニカは、現在6カ所で自動運転バスの定常運行を支援し、50自治体と導入に向けた協議をしています。車両や遠隔管理システムの提供だけでなく、自動運転バスを自治体の魅力アップに生かすためのコンサルティング業務も担っています。

 第1次ベビーブームに生まれた団塊の世代は、2025年に全員が後期高齢者となっています。少子高齢化が及ぼす社会や経済への影響は2025年問題とされますが、住みやすい環境に人が集まるという原理は変わりません。自治体の特性を生かしながら、どのようなまちにアップデートしていくかが問われています。地域間の連携やスマートシティー実現など目指す方向はそれぞれだとしても、自動運転に限らず、企業の技術の活用は外せない要素となります。

(2025年5月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です