安倍内閣はこのたびの内閣改造で女性活躍相を置き、10月に全閣僚が参加する「すべての女性が輝く社会づくり本部」を設置しました。女性の活躍を後押しするため、来春までに進める総合政策「すべての女性が輝く政策パッケージ」も決めています。大きな柱となるのが、女性が働きやすい職場環境づくりや子育て環境の改善です。また、女性の職業生活における活躍の推進に関する法案を今の国会に提出し、成立を目指しています。政府は2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする目標「2030」を掲げています。法案では、地方自治体や従業員301人以上の企業にも女性活用のための行動計画策定を義務づけています。
税制や社会保障制度にも切り込もうとしています。パートで働く妻の年収が103万円を超えると、夫は配偶者控除を受けられなくなります。夫が所得1000万円以下なら配偶者控除がありますが、それも妻の年収が増えるにつれて徐々に減り、141万円でゼロになります。妻は年収130万円以上になると、自らの年金や健康保険の保険料を負担します。これらの制度が女性の社会進出の壁だという指摘もあります。働き方の選択に対して中立的な制度に見直していく方針です。
日本は少子高齢化で生産年齢人口が減り続けています。これは経済成長にとって不利な条件です。そこで成長戦略の一環として女性が働きやすい環境を整え、就業率も高めようというのが出発点です。とにかく少しでも結果を出すことです。
(2014年11月10日 日本経済新聞夕刊)
(吉村 やすのり)