介護しながら働く人は2022年時点で364万6,000人に上り、50歳代が最多の42%を占めています。管理職やベテランとして職場の中核を担う世代です。企業にとって、人材流出や社員の疲労による業務効率の低下で生じる経済的な損失も大きくなっています。高齢化で親の介護に直面する社員らは増える見込みです。

総務省の5年ごとの調査によれば、2022年9月までの1年間に介護離職した人は10万6,000人と、2017年の調査より7,000人増えています。一方、介護休業の取得者は、親を介護する会社員らのうち1.6%、介護休暇は4.5%に過ぎません。
厚生労働省の委託調査で介護離職者に理由を尋ねると、勤務先の支援制度の問題や介護休業を取得しづらい雰囲気があったが43.4%と最多となっています。親の介護を理由に仕事を辞めざるを得ない介護離職を防ごうと、厚生労働省は改正育児・介護休業法に基づき、介護休業や介護休暇など仕事との両立支援制度を社員に周知するよう企業に義務づけました。

(2025年5月18日 読売新聞)
(吉村 やすのり)