男性の育児支援のための法改正

 残業免除の対象拡大などを盛り込んだ改正育児・介護休業法が、4月から段階的に施行されました。テレワークなど子育てに配慮した働き方が広がると期待されていますが、育児休業から復帰後も変わらず残業に悩まされる男性が目立っています。男性の育休取得率が高まるなか、男性が育児に継続的に参加できる環境整備が必要となります。男性が育休をとるのは、育児に継続参加する準備のためでもあります。男性の育休取得率は2023年度に30%と過去最高でしたが、復帰後のフォローまで意識する職場は限られています。

 国立成育医療研究センターによれば、6歳未満の子がいる父親が就業日に2時間半です。育児や家事充てるには、通勤を含む仕事の時間を9時間半以内に収める必要があります。業務時間が長いとその分妻に任せるか、睡眠などを削るしかありません。育休が終わると両立は個人の努力という社会システムになっています。残業と育児時間の合計が過労死ラインに達する場合も多く、子育てを楽しむ時間的ゆとりも必要です。

 4月の法改正では、勤務先に残業の免除を請求できる期間が延長され、子どもの年齢がこれまでの3歳未満から小学校入学前までとなりました。しかし男性の制度利用は3歳未満であっても少なく、2022年度の厚生労働省の委託調査では、男性正社員で育児による残業の免除を申請した経験のある人は6.5%、時短勤務も7.6%にとどまっています。

 10月からは支援が拡大されます。企業は3歳から小学校就学前の子を育てる社員おために、①始業時刻等の変更、②テレワーク、③保育施設の設置・運営、④仕事と養育の両立のための休暇、⑤短時間勤務のうち2つ以上を選んで講じなければなりません。

(2025年5月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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