OECDの調査によれば、日本の小中学校教員の1週間の仕事時間は対象48カ国・地域で最長です。中学校教員の場合、56.0時間と参加国平均の38.8時間の1.5倍で、課外活動や事務業務の時間は2~4倍長くなっています。一方で、自らの指導技術を高めるための職能開発の時間は半分以下です。
文部科学省の調査によれば、2021年度始業日時点の、全国の小中高校と特別支援学校の教員定数83万6,079人に対する実際の配置は83万4,014人で、2,558人の欠員が生じています。状況はその後も膠着しており、2023年度始業日時点で68教育委員会のうち教員不足が前年より悪化したのは42.6%を占め、改善の16.2%を大きく上回っています。2024年度当初は悪化が32.4%、改善が16.2%でした。
文部科学省は2025年度の採用から、選考時期の早期化を促しています。1次試験が大学4年生の7月頃と民間企業より遅いことを解消するため、2025年度は6月16日を目安とするよう要請しています。国は、教員の処遇についてもてこ入れを試みています。現在月給の4%とする教職調整額を段階的に10%に引き上げる改正案を、今国会で成立させる方向です。

(2025年6月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)