がん検診と早期診断

 がん検診を受けることは、がん無症状のうちに早期発見・早期治療し、がんで亡くなることを防ぐことにつながります。検診の対象は無症状の人のために、検診を受けなければ被ることがなかった偽陰性による見落としや偽陽性による精神的な負担が生じる可能性もあります。また、過剰診断などのデメリットも考慮しなければなりません。検診は全てのがんに推奨されるものではありません。WHOも、早期診断と検診とは区別するよう注意を促し、子宮頸部、大腸、乳房の3つのがん検診のみを推奨しています。

 一方、早期診断とは、何らかの症状を機にがんの診断を早くつけることです。下血・血便、血尿、喀血・血痰、嚥下困難は代表的な症状です。また原因不明の熱、リンパ節の腫れ、寝汗、原因不明の体重減少、原因不明の腰痛、乳房のしこりなどがあれば、早急に医療機関を受診すべできす。早期診断の障壁としては、一般的に医療機関の受診の遅れや、それに伴う診断の遅れなどが挙げられます。

 早期診断の遅れに関する問題は報告されていませんが、過剰ながん検診が問題視されています。がん検診の過剰診断により、本来不必要な治療が行われることがあります。また、検診や精密検査による偶発症が合併することもあります。そのため、国が推奨する5つのがん(胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部)以外の検診はお勧めできません。

(2025年6月4日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)

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