インパクト投資とは、財務的な収益を追求しつつ、社会的および環境的なインパクトの創出を目的とする投資手法のことを言います。インパクト投資は、社会課題や環境問題の解決に寄与するかが投資判断に必須の基準となります。投資先の企業や事業が、社会に前向きで計測可能な変化を与えることが条件で、投資家は儲けと社会貢献の両方を追い求めています。
気候変動や人口減少、地方経済の衰退といった社会課題への意識の高まりを背景に、日本でも急拡大しています。社会変革推進財団の調査によれば、国内のインパクト投資残高は昨年度に17.3兆円となり、前年度から5割増えています。
投資を受ける企業の意識も変わりつつあります。企業の社会貢献活動の標語として使われてきたCSR(企業の社会的責任)に代わり、CSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)という言葉が浸透してきています。企業が、事業とは別の形で副業的に社会貢献活動をするのではなく、本業を通じて社会課題の解決を目指す考え方です。

(2025年6月17日 読売新聞)
(吉村 やすのり)