健康食品と医薬品の差異

 悪玉コレステロールを下げるなどと表示できる機能性表示食品が急増しています。小林製薬の紅麹原料を含む商品もその一つでした。この商品は2015年から導入された機能性表示食品の一つです。いわゆる健康食品のうち、保健機能食品は商品に栄養成分の機能を表示できます。①特定保健用食品(トクホ)、②栄養機能食品、③機能性表示食品の3分類があります。

 トクホは、国が商品ごとに効果や安全性を確認して許可します。栄養機能食品は、ビタミンやミネラルなどの成分ならば国の食品表示基準で定めた表現を商品に表示できます。ただし、トクホは人に対する個別の試験が必須です。栄養機能食品も表示できる成分は20種に限られます。規制緩和で導入されたのが機能性表示食品です。効果や安全性の科学的根拠となる論文などの情報を消費者庁に届け出れば、成分の働きを表示できます。

 医薬品は、製薬会社が病気の人を対象に大規模な治験で治療効果や安全性を確かめ、厚生労働省が厳格に審査、承認します。医薬品は大規模な治験で治療効果や安全性を確認しています。保険適用で費用負担も少ないことが多く、副作用の救済制度もあります。

 機能性表示食品も科学的根拠が必要ですが、健康な人が対象の研究論文です。国の審査はなく、届け出資料に形式的な問題がないか確認して、データを公開すれば販売できます。機能性表示食品は急増しています。導入した2015年度は270件でしたが、2024年度は6,700件超に達しています。一方で国の審査があるトクホは、2015年度の約1,200件から2024年度は1,000件に減っています。機能性表示食品の根拠となる論文は小規模の試験がほとんどです。

(2025年6月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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