政府は、武力攻撃などでの有事に対応できる長期滞在型の避難シェルターを初めて整備します。2026年度から沖縄県の先島諸島で工事を始めます。先島諸島周辺では台湾有事の懸念があり、政府は住民の安全を守る態勢をとるとしています。
政府が整備を進める武力攻撃など有事に備えた避難シェルターは、主に特定臨時避難施設と緊急一時避難施設の2種類に分けられます。特定臨時避難施設は、移動手段が限られる島しょ部に置き、2週間ほど滞在できるようにします。緊急一時避難施設は、1~2時間の避難を想定し全国各地に設けるとしています。
シェルター整備の起点は、2022年末に決定した国家安全保障戦略です。武力攻撃の状況や地域の実情に即して、様々な種類の避難施設の確保に取り組むと明記しています。2025年度末までに先島諸島以外でも全国のシェルター確保に関する実施方針を策定します。既存の地下施設の活用促進や、施設の補強、換気設備や物資の備蓄といった課題への対処策を詰めるとしています。
海外では、スウェーデン、フィンランド、スイス、シンガポール、韓国などがシェルター整備の先進国とされます。例えばスイスは地下シェルターの人口カバー率が100%です。

(2025年6月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)