日本がNATOの加盟国とサイバー攻撃に関する情報の共有を始めています。中国やロシア、北朝鮮などが使うマルウエアの情報を防衛当局間で交換し、サイバー空間の防衛力向上にいかします。
マルウエアとは、コンピューターやネットワークに損害を与える目的で作成された悪意のあるプログラムの総称です。サイバー攻撃を仕掛けるハッカーが、標的にメールの添付ファイルを開かせたり、不正なウェブサイトにアクセスさせたりして送り込みます。コンピューターの動作障害や情報流出、ファイルの改ざんといった被害をもたらします。
マルウエアには、複数の種類があります。ウイルスは文書ファイルなどに寄生し、ファイルを開くとネットワーク内で感染が拡大します。端末やサーバーに侵入してシステムを強制停止し、復旧と引き換えに身代金を要求するランサムウエアは、日本企業が標的となったケースも多くみられます。
外国政府が主導してマルウエアを仕掛ける場合もあります。2024年の防衛白書では、中国が3万人、北朝鮮がおよそ6,800人のサイバー部隊を擁すると指摘しています。北朝鮮は、知人などを装ったなりすましメールでマルウエアを送り、巨額の暗号資産を盗み取っています。核やミサイル開発の資金源とされています。

(2025年6月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)