歩行訓練士の不足

 視覚障害者の安全な歩行や日常生活を支える歩行訓練士が全国的に不足しています。歩行訓練士は厚生労働省認定の民間資格です。白杖を用いた歩行の訓練だけでなく、点字の読み方やスマートフォンを用いた文字情報の読み上げ、料理や掃除に必要な動きの指導など日常生活を幅広く支えます。視覚障害者の自立支援を目的に、社会福祉法人である日本ライトハウスが1970年に養成を始めました。

 2024年時点で実際に活動を続けている歩行訓練士は、全国に189人です。社会福祉法人や医療機関など計94機関に所属し、自治体の委託事業などの一環として活動しています。都道府県別にみると、山形、奈良、岩手、和歌山の4県はゼロです。群馬や大分など12県は1人です。大都市を抱える東京、大阪など4都府県は10人以上いるものの、障害者手帳を持つ視覚障害者が全国に約27万人いるとされる中で、人材不足は深刻です。

 歩行訓練士になる課程は大卒者が対象で、資格取得に通常2年かかり、履修時間は3,000時間超に及びます。国家資格ではないことや報酬面でも決め手を欠き、担い手不足の一因となっています。

(2025年6月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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